バスケ何もわからない者なのに何故か全てをわからせてくれるTHE FIRST SLAM DUNKはとにかくすごい

年末年始バタついていたのがようやく落ち着いてきたので、遅ればせながら見ました。
ド傑作じゃないですか?これ。

 

スラムダンクは本誌で読んでアニメもリアタイで見ていたから大筋は知ってるけど、ちゃんと追っかけていたわけではないから正直ほとんど覚えてない、ぐらいの者です。

まあ湘北の人6人ぐらいは覚えてるから行けるだろ~?ぐらいの気持ちで見に行ったんだけど、め~~~ちゃくちゃ良かった。


喜怒哀楽の「情」を刺激されて感動したというよりは、もっと底から「うおーー!!」とか「わーー!!」とか「がんばれーーー!!」みたいな、あまり映画では出ない部分の「熱」が沸き上がった、という方が近いかも。

わたしはスポーツド素人どころか全く興味ない、やろうとしたこともない、何のルールも知らないという人間だけど、ちゃんと「スポーツの試合を”何がすごいのかわかった上で”めちゃくちゃアツくなって楽しんで見た」という手ごたえがある。なんちゅうか、とにかく、わかりやすいんですTHE FIRST SLAMDUNKは……。

 

わかりやすいといっても、「説明キャラが口頭で説明してくれる」とか、「図説」「別角度でリプレイ」みたいなことは一切ないのよ。
試合がリアルと同じように不可逆な時間の流れに沿って進んでいくだけなのに、めちゃくちゃ「わかる」。
作中、ゴール下にいる赤木が相手チームにめちゃくちゃマークされつつパスを受けてボールを保持するところで、ベンチから見ているチームメイトが「うまい!」っていうシーンがあるんです。
これがマンガだったら「メガネくんが”うまい!”って言ってるんだからなんかうまいことをやったんだろうな ワイにはわからんが……」ぐらいで読み進めると思うんですよ。
でも、THE FIRST SLAMDUNKは、相手が赤木にボールをとらせまいと本気になっているのが「わかる」。なので、ここからボールを受けても保持するのが難しいのも「わかる」。それでも、隙をついてボールを受けた後に体をひねって相手が想定している範囲外にボールの位置を持っていくことで保持する、そのうまさが「わかる」!!!!。
なので、私もメガネくんと一緒に思うわけよ、「うまい!!!!」って。
何がすごいって、このシーン多分10秒もないんですよ。

 

これに限らず、とにかく今ここで何が起きているのかが、バスケのルールすら知らない私にも「わかる」。

試合中にマークされるのってこんなに何もできなくなっちゃうんだ。赤木のダンクって力強いな高校生のレベルじゃないみたいだ。宮城リョータのドリブル速すぎ!三井のシュートって無駄な力が全然入っていないな。

そんな言葉で説明されることのない数々の「わかる」が作中の雰囲気に自分をどんどんシンクロさせていき、まさに観客席にいる人たちのような反応をさせてくれる。「頑張れ!」とか「行け!」とか「入れ…!!」とかいろんな気持ちが次々に沸いてくるのです。
この映画って「映画との一体感への徹底的な仕掛け」の集合体でできている。ほかにないこの作品のすごさって、そこだと思います。

 

BGMが最小限なのもすごく良かったのかな~。
この映画を見るにあたって「映画館で見た方がいいよ」って言われて、正直なんで?って思ってたんだけどマジで映画館で見て良かったです。映像というよりは音。音だわね。体育館に響くドリブルの音とシューズが擦れる音、でかい音で、体に響くスピーカーで聞くの気持ちよかった。こんなにずっと聞いていたくなるとはね。

 

話もかなり内容を絞っていて解りやすかった。

多分原作全く知らない人がいきなり見ても大丈夫だと思います。

今回はリョータを主軸に描かれてはいるけど、えらいもんで湘北メンバーのそれぞれに「リョータ!!!!行け!!!!!」
「ゴリがんばれ!!!こらえてくれ~~!!!」
「流川流川流川流川~~~~!!!!」
「三井…………ィ~~~~~~~!!!」
「ばなみぢ………」
となる場面がしっかりきっかりとある。

試合の終わり際、一人ひとり応援するモノローグの場面をメガネ君が担っていたのもすごくよかった……。
山王戦ってよくできてるよな~~~!!!!まるで最終回みたい……。

 

映像のことで言うと、観る前に公式が公開していたトレーラー(沖縄でのリョータとお兄ちゃんとのバスケシーン)を見たときはおー3Dっぽい3Dだな~って思って見たんだけど、えらいもんで全く同じシーンを見ても不思議とその違和感は全然なかった。
なんでだろ?大きい画面だと印象が違うのかな。

PS2www」とかさんざ言われてた3Dキャラクターも、わたしは見てて全然気にならなかった。
たしかに首~胸ぐらいにイカニモな3Dぽさはあるけど、そのことがこの映画の肝の部分を損なうことは全くないし、見てたら気にならなくもなると思う。まあでも引っかかる人もいるのかな~。
なにより、おそらくそこのブラッシュアップをしてたらこの映画を完成させるのは無理だったんじゃないかとすら思う。
3DのCGってゴリとか桜木の四角ベースの顔や、女性みたいに丸ベースの顔でできてる顔は比較的大丈夫なんだけど、一番きれいに表現できないのって「細面の美少年を斜めからみた図」なんですよね~。(つまり流川が一番ムズい……。)そこを整えようと思ったらほんとに膨大な手間がかかってくるので、そこより映像的な気持ちよさに労力と時間を割いたのは正解なのでは?という気がします。3Dなのにマンガの絵でちゃんと体重がある生きている人の動きでマンガの表現をしていたのでほんとにすごいと思った。

あと、いわゆるアニメ的・映画的な演出を意図的に避けたのか、結果そうなったのかわからないけどもかなり控えめだったのもカッコよかったな~~~!
いわゆる汗がパシャっとはじけたり、靴元をアップにして間を取ったり、ここぞというときに効果音を入れたり、みたいな定番の演出がなくても見ていて「速い!」「あたりが強い!」「痛い!」って気持ちにしっかりなったのがすごすぎる。

 

ザワついたといえば声優交代の件もあったけど、声優ほんとに全員良かったね。

張りすぎない演技というか、なんて表現したらいいのかわからんけど引き算しまくった演技の妙というか。
自然な空気をまとったままでキャラクター性を乗せて喋るのってどうやって指示したらこうなるんだって思った。
花道役のきむすば氏が「一言のセリフに3日かかった」とどこかで言ってたとのことだけど、それだけこだわってるのも納得。
私はリョータ役の仲村宗悟氏と三井役の笠間淳氏を他のコンテンツで見ていて好きなので「この二人が一体どんな演技をするのか見に行ってみるか~」ぐらいのヘラヘラした気持ちでいたんだけど、始まった瞬間からマーージでそんなこと忘れてた。リョータリョータだったし、三井は三井だった。
なんならエンドロール見てあっそうだ木村昴武内駿輔も出てたんじゃん!!!えっ誰で?!?ってびっくりしました。
(でもリョータの妹はしゃべった瞬間「あっ久野美咲だ!!」って思った。良いよな……。あの思う事はありつつ屈託のない感じ……。)

 

なんか、そういうビジュアルと演技の既知じゃない感じもあってか、見終わった後に、「実写ともアニメとも違うものを見たな」という気持ちが残っていて、これは何だろうと思ったんだけど、ベクトルでいえばプロレスを見た後が一番近いなと思った。
ショー要素を含んだスポーツというか。夢と現の境目というか。
人間が演じるのが3よりの2.5次元なら、2よりの2.5次元なのかも。でも、これがあの映画を表現するのにベストな方法だったんだとめちゃくちゃ思う。とにかくいいもん見たな~と言う気持ちです。

 


この後は見た人に向けて「あそこ良かったよね~~!」って言いたいだけの話です。ネタバレもなんもない映画だろうけど、見てない人でその辺気にする人は気を付けて…。

 

・オープニングの線画が3DCGになって真上からコートに描かれたテイのロゴが出るところ、ベタっちゃーベタなんだけどいや~~~~~しびれましたね!!!!
THE BIRTHDAY10-FEETも個人的には全く刺さらないタイプの音楽で、事前に耳にしてもこれがスラムダンクの曲なんだ~?といまひとつピンときてなかったんだけど見たら「これだわ~~~」ってなった。OPもEDも音楽が主になってないというか、浮いたりすることなく音楽・効果音・映像・空気が一体となって映像を作っているという感じですごかったです。EDのドリブルの音が音楽のリズムになっていったところで「くぅ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~」ってなっちゃったな~~。

 

・3DCGって「質感を変えるのが比較的得意」という特性があるんですが、例えば今回だと「汗だくなのを表現するために肌に水っぽいテカリを入れて水滴を乗せる」みたいなことって結構したくなりがちだと思うんだけど、やらなかったのマージですごいなと思った。
リョーちんはずっと動き続けてるし、三井も後半バテバテになっているように見えてるぐらいなので、プレイヤーとしてバスケやって、マンガの表現も熟知してるイノタケ先生としては早い段階で汗をかいてる描写を入れててもおかしくないと思ってたけど、目に見えて汗を描写したのって後半ラスト3分ぐらいからだったよね(わたしが見えてなかっただけだったらすんません)。そこまでずーっと押さえておいて、最後のここぞ!!!というとこでバシバシマンガ的演出を入れてくる感じめちゃくちゃかっこよかったっす……。マンガ家・イノタケ先生……!!

 

・2次元じゃない桜木花道、やべーやつ感が際立っていてめちゃくちゃすごかった。でかいし赤いしイカれてるし怖いよ!
マンガだと2次元で桜木視点の物語だからすんなり読んでたけど、3次元に寄った表現で描写されたものを見ると、あいつマジでどうかしてる!!!!視線と空気を持っていかれるし、次に何してくれるんだ?って思ってしまうし、何とかしてくれ!と思ってしまう。つくづく、主人公なんだなー。

 

リョータが沖縄から引っ越した湘南の海、同じ海なんだけどカモメじゃなくてトンビがずーっと鳴いてて「湘南の海ってそうだよな!!!」って思った。なんかこの違いの描き方にグーっときて好き……と思ってしまいました。

 

応援上映欲しいきもするけど、難しい気がする。積極的に応援OKというよりは、つい声が出てしまったり、行け!!!みたいなこと言っても誰も気にしない上映に行きたい。スポーツバーで見るのが一番いい気がする。スポーツバー上映頼まア!

 

宮城リョータ役の仲村宗悟という男、アイドルマスターSideMではセンターを張ってる役をやってることもあってニコ生やライブ、SNSでめ~~ちゃくちゃ見てきた限り、太陽から産まれたのか……?というぐらい「陽」の者である(余談だけどSideMで初CDが出た時は実家・沖縄のおばあが公民館でCDを配りまくったという最高のエピソードあり)からして、確かに陽よりではあるけど強すぎない陽というか、一歩控えたキャラの印象があった宮城……。宮城……?。となっていたんだけど、めちゃくちゃ宮城リョータだった。
あと、武内駿輔さん誰役だったんだろと思って調べたら沢北でびっくりした。あんな声でるんだね……。そして沢北が泣き崩れる声、めちゃくちゃ良かったね……。

 

わたくしからは以上です。ほんとうに見たことがないものを見て、いい体験した!星一億です!!